生まれ変わっても 君を呼ぶから


ぼくらは、名前もつけて貰えないまま、段ボールにつめられた。

助けて欲しくても、呼ぶ名前を知らない。

誰を呼べばいいんだろう。何にすがればいいのだろう。

ただ、生きていたいだけなのに。

ただ、生まれてきただけなのに。

ぼくたちの何が、罪だったのだろう?

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僕らの遥か上方で、外に繋がる蓋が閉じられた。
僕たち兄弟は寄り添って、閉ざされる未来をただ見ていた。抗うことは許されない。

視界が真っ暗になる。とたんに心細くなった僕が、出して貰おうと鳴くと、外から壁を殴られた。
パニックになって壁を引っ掻くと、ガタガタと揺らされた。
顔も名前も知らない飼い主さん…飼い主だった人は、僕らに名前すらつけてくれない。
にゃあにゃあと僕がわめくと、彼は暗い声で僕を脅した。

「金にならない雄猫なんて、今すぐ殺してもいいんだぞ」と。

それは本当につめたい声だった。
僕らのことをなんとも思っていない声だった。憎しみすらもない、無関心の声。

『…おとなしくしなよ。』

名前も知らない兄弟が、諦めたみたいに呟く。
僕らは寄り添って、寒さに震えていた。
兄弟の白いふわふわの尻尾に顔を埋めると、兄弟も僕のお腹に顔を擦り寄せてきた。

もはや僕らに選択の余地は残されていない。ただ身を任せるしかないのだ。
静かになったのを確認したんだろう。 空気の通りがなくなって、少し、息苦しい…。
抵抗しようとする僕の手を、兄弟が止めた。
その目はやっぱり暗くて、僕は涙をこぼすのさえはばかられるような気がした。

諦めるしかないのかも。
もう、委ねるしか…

…そして僕らは、水音と共に川に投げ込まれた。


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